寂しいとき

俺が大学二年の2月からバイトとしてお世話になってきたセブンイレブンが、12月2日をもって閉店する。
オーナー夫妻の堅実な経営によって十年間続いたこの店も、道路拡張計画で駐車場が失われることになり、大幅な集客減が予想されるため、長年親しんだこの土地を離れて、より集客の見込める地域に移転することになったのだ。
オーナー夫妻は新店立ち上げのスタッフとして俺を誘ってくれたが、就職も決まっていたので、ありがたい話ではあるが、断らせて貰った。
なので、今年から土日のみ仕事に入っている俺にとって、今日は最後の出勤だった。
昨日からいよいよ納品もシャットアウトされ、棚からは確実に商品が消えて行く。
ドリンク棚のペットボトル飲料もまばらで、リーチイン*1からは店内が丸々見渡せてしまう。
時間と共に商品を失い、しだいにその骨格をあらわにしてゆく店内。
これが何とも寂しい風景である。
帰り際、俺は心の中でつぶやいた。「十年間お疲れさま」と。

*1:ドリンクの在庫が置いてある、棚の裏の冷蔵庫