開演に先立って

眩しい。眩しすぎる。。。
今日から新年度のスタートだ。新宿の街はフレッシュな新入社員で溢れ反っていた。
これから入社式に向かうのだろう。みんな目をキラキラ、、というよりもギラギラさせて、引率の先輩社員の後をゾロゾロゾロゾロ、付いて行く。
俺は、南口に程近いとらのあなの下のケンタッキーで買ったフライドチキンをかじりながら、その行列をぼんやり眺めていた。
やばい、負けそうだ。先月まで最前線でサークルのコンパを仕切ってたような奴等が、行き場を失ったそのバイタリティーを街に無差別散布し始めたもんだから、負けそうだ。

すると、一人の女子社員と目が合った。そして、すぐに逸らされた。瞬間、彼女の見せた嘲笑とも取れるほほ笑みが、幼い日に遊んだ「たのしい幼稚園」の付録の日光写真のように、ボンヤリと脳裏に焼き付いた。
ちょっと待てと。
おいお前!いま「学生はいいよな〜」くらいのこと思っただろ!?俺だってなぁ、今はこんな格好して、デカイ紙袋提げて、とらのあなの下でフライドチキン食ってるけどなあ、来週には会社の都合で三重まで飛ばされんだよ!人並みには社会の荒波に翻弄されてんだよ!
え?そのデカイ紙袋の中身は何だってか?「アイマスコレクションpart2」だよ馬鹿野郎!何で初日から伊織が4つもダブるんだよ!?俺はなあ、PVCの香りでご飯三杯は行ける食欲倒錯者だぞ!どうだ、怖いだろう?そういうわけで、今日は最後の新宿を満喫してるってわけだ!わかったか、この女郎蜘蛛!
とにかく眩しい。眩し過ぎる。